・薬学部を卒業した後の平均年収
・薬学部を卒業した後の就職先
薬学部は入学することはもちろん、卒業するのも難しい学部の一つです。
とはいえ、卒業が難しい分、「卒業して資格さえとることができれば、人生の勝ち組になれること間違いなし!」と思っている人が多いと思います。
しかし、その考えちょっと甘いかもしれません。
今回は、薬学部卒業後の平均年収、主な就職先について解説していきます。
薬学部を卒業しても高年収とは限らない?その真相にせまる
では、さっそく本題です。
薬剤師の平均年収はどれくらいなのかを見ていきましょう。
平成29年(2017年)の薬剤師の平均年収は
となっています。
これは、全世代の平均年収ですので、基本的に20代はもっと少ないですが、30歳を超えてくると、平均以上にもらえる人が増えてきます。
この数字を見て、あなたはどう感じますか?
思ったより安いと思った人が多いのではないでしょうか。
薬剤師になるためには、大学に6年間、1000万円以上の学費を払って通う必要があります。
日本の給与所得者の、平均年収は432万円です。
それと比べると、1000万円以上の学費と6年間の時間をかけて、平均年収500万円は、ちょっと安すぎるのではないかと思ってしまいますよね。
このことから、薬学部を卒業したからといって、必ずしも年収が高くなるわけではない、ということが分かります。
高い収入を得ることだけを目的に、薬学部を選ぶのは気をつけた方が良いでしょう。
年収を高める方法がある
ただ、薬剤師としての年収を高くする方法がないわけではありません。
それは
ことです。
「普通東京に勤務した方が給料って高いんじゃないの?」と思うでしょう。
もちろん、一般的にはその考え方が正しいです。
しかし、薬剤師に関してはその法則はあまり当てはまりません。
東京よりも薬剤師の平均年収が高い県が、多々あります。
具体的には、
・奈良県
・鹿児島県
・青森県
・愛媛県
・静岡県
このあたりは、データ上は、東京よりも平均年収が高くなっています。
理由は簡単で、地方の方が薬剤師の人数が不足しているからです。
条件を良くすることで、人員の確保をしようとしている、ということです。
特に住む場所にこだわりがなく、とにかく少しでも年収が高いところで働きたいと考えるのであれば、地方に勤めることも視野にいれてください。
年収は就職先によっても大きく違う!薬剤師として働ける場所
薬剤師として、年収を上げるためには、薬剤師の不足している地方に勤務することが良い、ということが分かったと思います。
しかし、それ以外にも年収をあげるためのポイントがあります。
それは、
です。
薬剤師とはいえ、働く場所はさまざまです。
より年収の高い職種を選ぶことで、年収を上げることができます。
ここで、薬剤師として働ける職種について、仕事内容と平均年収について、具体的に解説していきます。
調剤薬局
病院から処方された薬を準備するのが、調剤薬局です。
とはいっても、病院から言われた薬をただ渡せば良い、というわけではありません。
他にも
・服薬指導
・薬歴管理
といった仕事もあります。
例えば、薬歴履歴を確認した際に、飲み合わせの悪い薬を服薬しているなど、何か疑問が生じた場合には、それを医師に確認(疑義照会)する場合もあります。
薬を準備することはもちろん、患者とのコミュニケーションも必要な仕事となります。
そんな調剤薬局に勤務した場合の平均年収は、580万円程度となります。
薬剤師の平均年収と同じくらいと考えて良いでしょう。
ドラッグストア
全国各地に多々存在するドラッグストアにも、薬剤師は必ず必要です。
薬剤師の主な仕事は、一般医薬品の販売となりますが、実際に勤務した場合には、レジ打ちや品出しなどの一般業務も兼任することがほとんどです。
基本的には、接客作業が多くなと思ってください。
そんなドラッグストアに勤務した場合の平均年収は、530万円程度となります。
そこまで高くないですね。
ただし、ショップの店長になると、年収が急激に増えることもあるため、実際は平均年収以上に収入が高い人が多いと思われます。
製薬会社
製薬会社における、薬剤師のメインの仕事は、いわゆる「創薬」とイメージする人が多いでしょう。
しかし、実際にはそれ以外にも、治験の準備、自社製品の安全性や性能について販促する、いわゆる営業職まで多岐にわたります。
そんな製薬会社に勤務した場合の、平均年収は1000万円以上となっています。
薬剤師として勤務するのであれば、製薬会社に就職することが、最も高い年収を手に入れる可能性があると、言えるでしょう。
病院薬剤師
一昔前は、調剤薬局の業務とさほど変わらなかったのですが、現在は少し業務内容が異なってきています。
具体的には、
・チーム医療への参加
・点滴や注射薬の取り扱い
などです。
基本は、入院患者などの服薬指導がメインとなりますが、医師や看護師と連携をとりながら、仕事をするという点では、調剤薬局の勤務とは大きく異なります。
また、最近では、入院患者のデータに基づいて、薬物治療モニタリングといった業務もおこなうように、なっています。
総合すると、調剤薬局に勤務する薬剤師より、少々業務が多い印象です。
となると、調剤薬局へ勤務するよりも、高収入を期待してしまいますが、実際の、病院勤務薬剤師の平均年収は、520万円程度となります。
業務はハードになりがちにも関わらず、平均年収は低い傾向にあります。
収入よりもやりがいを重視する人でないと、勤めるのは大変と言えるでしょう。
その他
薬剤師としての勤務先として他には、学校薬剤師という仕事もあります。
これは、学校の環境衛生を保つことがメインの仕事となります。
また、子どもたちに直接薬に関する授業をおこなうこともあります。
しかし、学校薬剤師の平均年収は16万程度と、かなり低いです。
そもそも勤務が年に数回程度と非常に少ないため、収入もほぼありません。
つまり、ほとんどの人が、副業として学校薬剤師を勤めていると考えてください。
また、大学の研究員として勤務することもできます。
最初のうちは年収は低いですが、教授クラスになれば、平均年収は1000万円を超えてくるので、研究を続けたいと考えるのであれば、大学に勤務するのも良いと思います。
まとめ
今回は、薬学部卒業後の平均年収、主な就職先について解説していきました。
もう一度整理すると、
・薬剤師の資格をとったからといって、年収が高くなるとは限らない。
・薬剤師の平均年収は、地方の方が高い。
・薬剤師として勤務する場合は、製薬会社に就職するのが、最も高い年収を得ることができる。
となります。
将来が安定するといった安易な考えで、薬剤師を目指すことは、避けた方が良いでしょう。
薬剤師として成功したいのであれば、就職後も勉強が必要であることを、覚えておいてください。