「勉強しなさい!」は逆効果?
さて、冒頭でも述べたとおり、
と言われて、素直に勉強するような子は基本的にはいません。
それどころか、統計上は、勉強しなさいと言われているこの方が、1日あたりの平均学習時間が5分程度短くなる傾向すらあると言われています。
例えば大人であっても、命令されるとやりたくないことは、たくさんあるのではないかと思います。
大人でも嫌なことを、子どもがやるわけはないですよね。
ですので、仮に勉強している様子が見られなかったとしても、「勉強しなさい!」と子どもに言うのは、やめた方が良いです。
どうすればやる気を出させることができるのか
とはいえ、そのまま勉強をしない状態が続くのは、困りますよね。
では、どのようにして勉強をやらせればよいのでしょうか。
結論は、
です。
ごほうびは何でも良いのですが(子どもが欲しがるもの)、一番分かりやすいのはお金です。
たしかに、お金を与えるとうことに対して、抵抗を感じる人もいるでしょう。
しかし、大人が仕事を頑張れる理由を考えてみてください。
もちろん、様々な理由があるとは思いますが、一番多いのは「結果を出せばお金がたくさんもらえるから」ではないでしょうか?
逆に言えば、大人であっても、お金がもらえなければ、頑張らない人の方が多いのではないかと思います。
つまり、お金で動くことは、決して悪いことではないのです。
他に適切なごほうびがないのであれば、お金を与えてください。
ごほうびの与え方に注意
ただし、気をつけなければならないことが、一つあります。
ごほうびは、結果に対してではなく、努力に対して与えるようにしてください。
例えば、「テストで80点以上とったらごほうびをあげる」ではなく、「1週間でワークを10ページ以上やったらごほうびをあげる」という設定をする、ということです。
なぜ努力にごぼうびを与えた方が良いかというと、子どもにとって、努力の仕方が具体的になるからです。
結果に対するごほうびも、もちろん子どものやる気を高める効果はあります。
しかし、勉強の仕方が分からない子が、結果を求めたとして、正しい勉強ができず、結果として点数が伸びない可能性があります。
そうなると、「頑張っても俺(私)はダメなんだ・・・。」と悲観的になってしまい、さらに勉強をしなくなる可能性があるのです。
「将来のために」と言われても子どもは勉強しない
勉強しない子どもに向かって、ついつい言ってしまう言葉の中には、
といったものも、あるのではないでしょうか。
しかし、この言葉も子どものやる気を引き起こす可能性は、ほぼありません。
というのも、人はすぐに得られる満足を大切にする傾向があります。
勉強しない子どもたちの中にも、将来の夢のために勉強しなければならないと、頭では理解している子がたくさんいます。
しかし、実際の行動に移すことはできない。
それは、目先に楽しいことが、たくさんあるからなのです。
昔は、子どもが楽しめるものって少なかったと思います。
しかし、今ではスマートフォンなどの機器が発達し、子どもであっても24時間楽しめる環境が揃っていると言えます。
楽しいことが目の前にあれば、ついついそれを優先してしまうことは、自然の行動です。
つまり、「将来のために頑張りなさい」は、理解はできても、決して行動には移らない言葉なのです。
褒めるのは結果ではなく努力
先ほど、ごほうびは結果ではなく努力に与えた方が良い、と説明しましたが、褒めるという行為に関しても、同じことが言えます。
子どもですから、褒められたらやる気を出す子も多いのではないかと、思います。
褒めること自体は全く問題ありません。
しかし、褒めるときには
ようにしてください。
つまり、「テストで90点とって偉いね」ではなく、「約束したワーク、ちゃんとやりきって偉いね」と褒めた方が良い、ということです。
なぜかというと、結果を褒められると、それ以上成長しなくなる可能性が高いからです。
子どもは、心のどこかで「これくらい点数とっておけば褒められるんだな」という気持ちが生まれます。
そうなると、いつしか子どもは、その点数を目標に努力をするように、なってしまうのです。
つまり、向上心がなくなってしまうので、点数が伸びにくくなってしまうので。
さらに、もっと良くないのは、過大評価です。
例えば、いつも20点だった子が、50点をとった場合に「良い点数だね」と言うかもしれません。
しかし、実際の50点は決して良い点数とは言えませんよね。
それでも子どもは、褒められたことを理由に、その点数でいいんだと思い、満足してしまいます。
この場合、現状維持どころから、点数が下がっていく可能性もあります。
50点ということは、勉強の仕方が確実に身についておらず、運良く勉強したところが出た可能性が高いからです。
ですので、50点をとった子を褒めたいのであれば
と、努力したことを、しっかりと認めてあげるように声をかけてください。
決して、点数は褒めないようにしましょう。
本代はケチらない方が良い
勉強を得意にするためには、読書が良いと言われています。
たしかに、勉強が得意な子ほど、読書をしている割合が高いのは、事実です。
しかし、残念ながら読書をしたからといって、成績が上がるという科学的根拠はありません。
いえ、読書は積極的にさせてください。
たしかに、読書をすれば成績が上がるという根拠はないかもしれません。
しかし、読書をしている子どもの方が成績が上がっているのは事実ですし、仮に成績が上がらなかったとしても、本を通して、多くの知識を得ることができます。
つまり、読書をすることで子どもの可能性が広がることは、間違いありません。
子どもが読みたいと言ってきた本に関しては、積極的に読ませてあげてください。
なお、この記事は『「学力」の経済学』を参考に、作成しております。
その他にも、教育に関する様々な情報がありますので、気になる方は、是非読んでみてください。
漫画版もあります。
まとめ
今回は、子どもの学力の、正しい高め方について、解説していきました。
もう一度整理すると、
・「勉強しなさい!」は言っても効果ない。
・勉強させたいのであれば、ごほうびを与えるのが一番早い。ただし、与え方に注意。
・人間は長期的な目標に向けて、努力を続けるのは苦手。
・褒めるのであれば、結果ではなく、努力を。
となります。
子どもが立派に成長することは、親であれば誰もが願うことです。
子どもの幸せな未来のために、正しい勉強のさせ方を考えてみてください。